
若年性アルツハイマーと検索したら、検索窓に「若年性アルツハイマーの母と生きる」という予測キーワードがいつも出てくるので気になっていた本ですが、たまたま図書館で見つけたので借りて読みました。
本の表紙が桜の木をバックに著者の岩佐まりさんと、若年性アルツハイマー型認知症のお母様が笑顔で映っていたので「ほんわか認知症介護日記」かと思ったのですが、いやいや、壮絶な介護の現実を書かれていました。
今回は、私なりに「若年性アルツハイマーの母と生きる」の解説を行わせていただきたいと思います。
「若年性アルツハイマーの母と生きる」あらすじ
若年性「物忘れ外来」で、
母が「アルツハイマー型軽度認知障害」と
診断されたあの日、
二人で大泣きしながら帰ったことをずっと忘れない。
というあらすじから始まり、ご自身とお母様との闘病生活を最初2003年(お母様55歳、まりさん20歳)から現在2015年(お母様67歳、まりさん32歳)まで赤裸々に書かれています。
「若年性アルツハイマーの母と生きる」要約
著者の岩佐まりさんが20歳の頃にお母様の異変に気付き受診を行ったものの、病院では特にMRIを取ることもなく、認知症ではないとの事だったが、その3年後に物忘れ外来でMCI(軽度認知症)の診断を受けた事から、認知症がさらに進行し、家族も介護負担で疲弊する現実と、それでも岩佐まりさんが母の介護を通じて幸せを見出していくという話です。
時系列で出来事をまとめると以下のようになります。
2003年(お母様55歳、まりさん20歳)
・異変を感じて病院で検査をするもMRIも撮らず「異常なし」の診断。
↓
2006年(お母様58歳、まりさん23歳)
・MCI(アルツハイマー型軽度認知症)の診断
↓
2008年(お母様60歳、まりさん25歳)
・アルツハイマー型認知症の診断
↓
2009年(お母様61歳、まりさん26歳)
・お父様の介護疲労がピークになり、まりさんが一時的にお母様を引き取る事に
↓
2012年(お母様64歳、まりさん29歳)
・2010年からお父様と暮らしていたお母様の心身状況が低下し、まりさんが東京で引き取る事に
↓
2013年(お母様65歳、まりさん30歳)
・要介護3、徘徊出現の中シングル介護開始
↓
2015年(お母様67歳、まりさん32歳)
・介護保険などを活用しながら在宅介護生活を送られる
このように12年間の軌跡が本書では語られています。
「若年性アルツハイマーの母と生きる」感想
読み進めていくうちに、こんなにうら若き女性が、お母様の介護を献身的に行われているんだ!と感心してしまいました。
そして、介護環境として自宅の間取り図(2DK)や一日のスケジュールや、さらには32歳の著者の認知症の家族を主で支える介護者の恋愛と結婚について、食事に誘われた男性にお母様のことを打ち明けると、食べ物が残っている状態なのに逃げるようにお開きにされるといった苦い体験も書かれています。
・・・こんな美しいお嬢さんがこのような文章を書くのは胸が痛かっただろうな。
と悔しい気持ちになりましたが、認知症介護を行うことが特別視されず介護を嫌なものと捉える人が少なくなれば恋愛や結婚のハードルも下がるだろうとの社会への声を届けるためにお伝えくださったんだと感謝しています。
また、若年性アルツハイマー型認知症の方の介護では一番の問題が「お金」になりますが、65歳までに障害基礎年金の申請を行えば受給が可能であるとの情報を知ったのが65歳になる1ヶ月前で急いで申請を行われたら間に合って助かったとの記述もありました。
私自身がケアマネジャーの仕事をしていたのでわかる部分があるのですが、この時点でデイサービスやケアマネジャー、かかりつけ医など介護・医療関係者が多くいた中でなぜ障害基礎年金の受給申請の支援が行われなかったのかが不思議でなりません。
専門職よりも、弟さんが調べた挙句の申請であったとの事で、間に合ったので良かったのですが、この部分は専門職の対応がどうなのかなぁ。と思う部分でした。
今は、「若年性アルツハイマーの母と生きる」はサンデージャポンなどで取り上げられて話題を呼んでいます。
ぜひ、このような若年性アルツハイマー型認知症とそのご家族や介護についての社会的認知が広がることをお祈りします。
岩佐まりさんの公式アメブロ→ 若年性アルツハイマーの母と生きる
※ぜひ、公式ブログでも岩佐まりさんとお母様の情報をご確認ください^^
カテゴリ:若年性アルツハイマー書籍 [コメント:0]
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